驚くことに、機械式時計部門とボード水晶時計部門の両方の分野で、並み居るスイス時計の名門ブランド達も参加する中、たった数年で上位を独占しています!!世界的に評価されている日本の「ものづくり」の凄さのDNAを感じられる偉業ですね……本当に凄すぎます!
第一次開発秘話、世界初のクォーツ時計誕生~クォーツアストロン~
世界的なクォーツ開発競争を制したセイコー及び諏訪精工舎。1959年に中村恒也氏をリーダーに始まった「59Aプロジェクト」は、多くのエンジニア達の汗と涙の結晶が凝縮された歴史です。同年、1.5Vの電池で駆動するクォーツムーブメントの開発から着手し、確かな実績を挙げることから始まります。
しかし、腕時計サイズにまで小型商品化するためには、3つの大きな課題がありました。
課題①水晶振動子の小型化と安定化⇒音叉型水晶振動子を開発
課題②省エネルギー化⇒最初のクオーツ腕時計(35SQ)はトランジスタによるハイブリットICを使用
課題③モーターの省電力化と小型化⇒ステップモーターの開発
各課題をどのように克服していったか?も合わせてご紹介します。
水晶振動子を小型化・安定化せよ~音叉型水晶振動子の開発~
音叉型水晶振動子「Cal.35SQ」を開発し、クォーツの小型化に成功した諏訪精工舎
諏訪精工舎が他社に先駆けて、クォーツ腕時計を実用化できたポイントの一つとして、「水晶振動子の小型化」に成功した点でしょう。それまでのクォーツ時計は、「精度が高いもののサイズが大きい」という弱点がありました。どんなに小型な水晶振動子でも長さが約50mmほどもあり、腕時計内に収めるのは不可能な状況でした。
そこで諏訪精工舎は、ある秘策を用います。水晶振動子の構造を新しく「音叉型」に変えることで、問題を克服するのです。音叉型水晶振動子「Cal.35SQ」は、直径4.3mm×長さ18.5mmまで小型化することに成功します。
腕時計に応用できるように、衝撃の問題は「真空のカプセル内に振動子をつり下げる」方法で、温度変化の問題は「クリスタルクロノメーター」にも使われた「サーモバリコン(温度補正装置)」で、それぞれ問題をクリアしていきます。
音叉型水晶振動子は、パソコンやスマートフォン、デジタルカメラなど、多岐にわたって有効活用されており、現在の私達の生活インフラに欠かせない存在です。
ピアゾの腕時計豆知識
<ハイブリッドICを支えたトランジスタ技術>
2つ目の問題である「省エネルギー化」も優れた技術力で、セイコーグループは切り抜けます。「Cal.35SQ」には、セラミック基板上に……なんと、手作業!で、トランジスタを76個、抵抗84個、コンデンサを29個などの素子をハンダ付けで固定。省電力&小型化を図ったハイブリッドICを実現しました。
その後、3分の1~4分の1の低パワーで動く「CMOS-IC」を自社製造することで、より小型化&低消費電力化を実現していくのです。
スプリングドライブの歴史にも共通しているので、合わせて関連記事をご覧ください。
「ないならば、自分達で作ってしまえばいい!」